ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

エイリアン4

1997年 アメリカ 109分

監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:シガニー・ウィーバー、ウィノナ・ライダー、マイケル・ウィンコット

 

エイリアンシリーズ最終作、そして地球に

1979年公開のリドリー・スコット監督・第一作から18年。2013年現在の最新作であり最終作とされている1997年公開の「エイリアン4」。

前回の「エイリアン3」は、のちに「セブン」や「ファイトクラブ」を撮ることになるデヴィッド・フィンチャーが初監督に抜擢。ジェームズ・キャメロン監督の「エイリアン2」でヒットしたにもかかわらず、「わかりやすい娯楽作としてではなく、凝った美術、練った脚本を楽しめる玄人好みの作品」へと舵を切ったことが見て取れた。

娯楽作としてシリーズを重ねていけば、脚本のマンネリ化と質の低下はまぬがれないだろう。この方向性の変更は個人的には支持したいと思っていたところ、最新作をジャン=ピエール・ジェネがメガホンを取るとなれば期待せずにはいられない。

「デリカデッセン」や「ロスト・チルドレン」など“レトロ趣味な異空間”を作ることで多くのファンを獲得している同監督ならではの映像がなんといっても素晴らしい。

全体にオレンジのフィルターを被したような味わいのある色合いと宇宙船内部のメカメカしい近未来の映像が独特な雰囲気を作っている。
特に終盤、宇宙船の閉じられた空間の中でマザーエイリアンが出産する間際に身を捩りうねる姿は、エイリアンというグロテスクなものを映していながら美しさすら感じる。

映像はリドリー・スコットやジェームズ・キャメロンの青をベースにした王道ともいえる冷たい宇宙空間とは明らかに一線を画している。同じシリーズとは思えないほどだ。同じような設定、同じ主人公、同じエイリアンという素材を使いながら監督が変わればこのように雰囲気が変わるものかと感心してしまう。

今作もこれまでと同じ、密閉された宇宙空間の中でエイリアンに襲われ逃げまわるというプロットが組まれた。しかし唯一違う点は、閉じられた空間である宇宙船が、大気のある開かれた世界の地球に到着したことである。
ラストシーンはすべてで主人公をつとめたシガニー・ウィーバーとウィノナ・ライダーが宇宙船から地球の大地を眺めながら幕を閉じる。

「エイリアン3」までは登場する主要な成人女性は主人公のリプリーのみだったが、今作ではウィノナ・ライダー演じるコールが登場する(映画の設定上はアンドロイドなので正確には成人女性とは言えないかもしれないが)。このウィノナ・ライダーの存在感がかなりいい。

汗まみれ、エイリアンの体液まみれのむさ苦しい登場人物たちの中で、正義感と躍動感に溢れるコールの存在はただの脱出劇に収まらない、「希望ある未来」を感じさせる。その「未来」が「地球」だと最後にわかったとき、映像や脚本だけでなく、今作は配役も良いなと思った。全4作の中で、この「エイリアン4」が個人的には一番好きです。(85点)

 

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