ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

ゴースト ニューヨークの幻

1990年 アメリカ 128分

監督:ジェリー・ザッカー
出演:パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ

 

成仏する条件とは?簡単すぎる復讐劇

いわずとしれた世界的メガヒット作品。公開されたころ、私は高校生だった。

ベストセラーだ全米ナンバーワンだといった煽りを観るとどうしても冷めてしまい当時まったく観る気が起きず、「恋人が死ぬ映画なんて愚の骨頂」と生意気な批評家風情(今も大して変わらないが)で切り捨てていたものだった。

ところが、女子たちがワーキャー騒ぐのはわかる、なんと周りにいた男たちまで、「あのコインが浮かぶところがたまんないよね」「あ、オレもあのシーンで涙を押さえられなかった」と目をキラキラさせて語り合っておるではないか。

男をそこまで夢中にさせる恋愛映画などかつてあったのだろうか? ここは四の五の言わずに、しかと我が目で確かめるべきではないのか?

と思い立ったが吉日、カップルでごった返す地元の劇場でスクリーンを凝視したところ…。えーと…、これ、なにがそんなによいのでしょうか?

主人公が殺されるきっかけとなったのは、実は親友の指示だった。さらに裏切り者の親友が残された自分の恋人に近づきやがる。なるほど、それはさぞかし悔しいことだろう。しかし現実には決着がついているのである。

例えばこれが、真実に気づいたデミ・ムーアが勇気を出して暴き、立ち向かっていく物語であれば見応えもあるだろう。すでにいない恋人や親友の踏み違った人生、それを糾弾しようとしている自分、そういった複雑な浮き彫りになり見応えもあろう。

それが死んだはずの主人公が死に切れずにゴーストとなって、予定調和通り上映時間内に復讐が完結してしまう。

「裏切り者の親友を殺したし、スッキリしたから成仏するよ」ってなんだか簡単すぎやしないですか?

人間が人間以外のものに変化して現実の出来事をさくっと解決する、そんなお気楽ストーリーがあってもよいだろう。だがこのような深みのない物語があれほどまでに支持を受けた理由が未だにわからないのである。(55点)

 

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