ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

シコふんじゃった。

1992年 日本 103分

監督:周防正行
出演:本木雅弘、清水美砂、竹中直人、柄本明

 

ふざけたタイトル?とんでもない!

なんとふざけたタイトルの映画だろう。歌の『猫踏んじゃった♪』をもじって、さらに句点までついている。

「シブがき隊」というこれまたあり得ないほど恥ずかしいユニット名のアイドルグループに属していた主演の本木雅弘は、シブガキ隊を解散して2年後に今作に主演している。

すでに彼をアイドルと呼ぶには旬が過ぎており、俳優としてのキャリアはまだまだといったところ。なので公開当時の私は、オフザケ映画なのかそれとも本木人気をあてこんだ中途半端なアイドル映画なのか、判断がつかずにいたものだ。こんな映画を観ることは一生ないだろう、とさえ思った。

ところが映画好きの友人から「絶対におもしろいから」と太鼓判を押され、騙されたつもりで観てみることに。これがなんとヒットした! おもしろいじゃないか。何度でも繰り返して観たいほどだ。

この映画の最大の特徴は、プロットがしっかりしていることだ。物語の主軸は、本木雅弘演じる主人公・秋平の人間的な成長にある。

楽すること、女の子の気をひくことばかりを考えているごくごく一般的な大学生の秋平にとって、裸にフンドシの相撲という競技は自分のライフスタイルと対極にあるものだ。卒業単位取得のため、という理由がなければやろうと思わないだろう。

しかし見た目はどうであれ勝ち負けがはっきりとつく勝負の世界は爽快だ。単純に強いヤツが勝つのである。素人の秋平は一度だけ出ることにした大会で散々に打ちのめされる。

行き掛り上、やむを得ずはじめた相撲とはいえ、負けて罵倒され叱責されて、そこで「しょうがねえじゃん、素人なんだ」と不貞腐れてはドラマははじまらない。現実ではない映画に、我々は何よりもドラマを求めているのだ。

そうして相撲に真剣に取り組んだ物語の終盤。その結果は予想通り。
ラストシーン。ヒロインである清水美砂が本木に「私もとうとう、シコ、ふんじゃった」と笑って話すのを観て、鈍感な私はようやくタイトルの妙に気づいたのである。(88点)

 

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