ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

ドラゴン怒りの鉄拳

1972年 香港 102分

監督:ロー・ウェイ
脚本:ロー・ウェイ
撮影:チェン・チンチュー
出演:ブルース・リー、ノラ・ミャオ、ティエン・フォン

 

見事なヌンチャク捌き。それだけ

下積みが長く32歳で他界したブルース・リー。

スターダムに登ってからの活動期間は2年とあまりにも短く、出世作となった『ドラゴン危機一髪』から遺作の『死亡遊戯』までは5作しかない。そんな少ない出演本数であるのだが、この映画はどうにもこうにもいただけない映画である。

ブルース・リーのシンボルである怪鳥音とヌンチャクが初めて使用されたことでも知られるが、特筆すべきはそこだけではないだろうか?

脚本・演出・カメラ・小道具などすべてにおいてひどい。かといって、日本人が運営する柔道場で日本人の着ている袴が後ろ前になっていたり、殴られて飛ばされる人間が明らかに人形であったり、そういったことは些末なことである。

殺された師匠の仇をうちに行くという復讐劇の構造なのだが、上海租界で強権を持っていた日本人に対しての鬱憤晴らしに度が過ぎたのか、ブルース・リーの敵である日本人軍団があまりにも滑稽だ。

別にとびきり強い達人がいるわけでなく、単なる中国人いじめの嫌なやつらとしか描かれていない。なのでクライマックスでもハラハラすることなく、あっけなく決着はついてしまう。

当時の香港では空前の大ヒットを記録したらしく、当時いかに娯楽がなかったか、また反日感情が根付いていたかが忍ばれるが、映画だけに限らず芸術にナショナリズムが結びつくとまったくどうしようもない。

ブルース・リーの飛び蹴りで締め括る超有名な最後のシーン。元々は違うラストだったらしく、ブルース・リーが変更を志願したそうだ。
はたして何に対しての飛び蹴りであり怒りだったのか。色々と深読みが可能なラストである。(17点)

 

Pocket