ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

リンダリンダリンダ

2005年 日本 114分

監督:山下敦弘
脚本:向井康介、宮下和雅子、山下敦弘
撮影:池内義浩
出演:ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織

 

退屈に流れる上映時間。退屈に流れる青春の日々

変な映画である。

ブルーハーツの出世曲「リンダリンダ」をモチーフにしていることは、タイトルからも明らか。そこに「女子高生」「文化祭」「バンド」といかにも青春映画的な舞台が整えられ「これは何も考えずに明るく楽しく単純に観れそうな映画だな」と思った。

しかしそこには香椎由宇演じる気難しそうなリーダーとなりゆきでマイクを握ることになったぺ・ドゥナ演じる天然っぽい韓国人留学生のヴォーカル、そんなにキャラの立ってないドラムスとベースの二人。起伏のあるストーリーはとうてい望めそうもない気怠い空気の中、文化祭前夜の慌ただしい学内の様子から始まる物語は、ステージに上る最終日までただただ練習を続け、ごく淡々と作品内の時間が流れてエンドロールへと向かっていく。

勝手に抱いていた先入観を覆された私は、「明るく楽しくなんてとんでもない。ただの退屈な映画」と初見の決着を着けた。

しかし数日経ち、数週間が経つと何かしら引っ掛かるものがある。何本かの映画観賞を挟んだ後、「これは退屈な映画だ」と新たな先入観を持って観返すことにした。
すると、今度は違った印象が私の中に芽生えてきた。

そういえば自分の学生時代も退屈なものではなかったか。

アップダウンのない変わり映えしない日々、その流れを変えようともがくが結局内側と外側の狭い世界から逃れられないでいるもどかしさ…。
物語の中盤、夜の学校で練習をする4人。練習の合間に屋上へと上り、ジュース片手にたわいのない話をする。普段は無口なドラムスの響子が「本番よりこんな時間の方が、後々印象に残るんだよね」とぽつりと話す。

その瞬間、私の中に自分の高校生の頃の印象に残っている場面、退屈な時間が思い返される。いつまでも続くと思っていた淡々とした青春と呼ばれる大げさな時間。
映画の終盤、がらんとした廊下や下駄箱や教室のカットが挿入された後に流れ出すエンドロール。退屈な映画だが、私は再びこの映画を観返すだろうと予感した。

つまりこの映画は、自分のリアルな青春を思い出させる「悪くない映画」だ。(75点)

 

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