ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

時計じかけのオレンジ

1972年 イギリス 136分

監督:スタンリー・キューブリック
出演:マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー、マイケル・ベイツ

 

無抵抗な人間に暴力。なぜそんなにもてはやす?

誰もが耳にしたことがあるであろうこの映画。監督は「シャイニング」と同じく、スタンリー・キューブリック。

私の周りだけかもしれないが、20歳前後のころ周りにいるほとんどの人間がこの映画を観始めるという現象が起こった。まるでこの映画を観ること自体が、サブカルチャーを語る上での必須事項であるかのようであった。

その余波でこの映画の存在を知った私は、当時21歳。周りのオサレな連中がトキメキまくっていた本作、さぞかしすごい映画なのだろうと観てみることにしたのだった。

この映画の描きたいことはよくわかる。
我々は常に自らの暴力性を持て余している生き物だ。誰かを深く愛したいと思う反面、誰かを傷つけたいという抑え難い気持ちが湧き出てくる。

それは極端に言えば、優秀な遺伝子を残したいという渇望から生まれる欲求なのだが、我々はまた社会的な生物であるがゆえに、愛することは許されても傷つけることは許されない。

その行き場のないジレンマを描くことは、芸術の大きな役割であろう。しかし…。

いい子ぶるつもりはさらさらないが、浮浪者や一般市民を無意味に傷つけ、陵辱する。そういった映画がはたして必要なのだろうか? と考えてしまう。

傷つけることは許されない社会でありながら、日夜暴力に溢れ誰かが絶えず傷ついているようなこの世の中で、ことさら暴力性を描き出す必要などあるのだろうか?

と言っても観たのは一回きり。今となればまた違う見方ができるのであろうが、この映画を繰り返し観るくらいなら、他に観たい映画が山のようにある。(65点)

 

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