ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

12モンキーズ

1995年 アメリカ 129分

監督:テリー・ギリアム
脚本:デイヴィッド・ピープルズ、ジャネット・ピープルズ
撮影:ロジャー・プラット
出演:ブルース・ウィリス、マデリーン・ストウ、ブラッド・ピット

 

豪華キャストを用いて、救われない終末を描く

「ブルース・ウィリスにブラッド・ピット! 配役は申し分ないし過去に行ったり未来に行ったりターミネーターっぽいし、なにしろ全米が涙した的な? ハリウッドのSF大作なんだし、もう期待しちゃう♪」などとTSUTAYAでこの映画のDVD片手に騒いでいるメグ・ライアンやジョニー・デップのことが大好きそうなOLさんがもし仮にいらっしゃったとしたら、「強烈なしっぺ返しをくらいますよ」とそっと囁いてあげたい。

二枚目俳優ブラッド・ピットの役どころはイカれた精神病患者。そのぶっとんだ演技はこの映画を紹介する際によく上げられるポイントだが、それは重層的な物語を形作る一つのパーツにすぎない。

テリー・ギリアムらしい凝った美術もまたパーツの一つ。

物語が始まってすぐ、ブルース・ウィリスが未来から過去に到着した時の姿は、完全に不吉めいておりこの映画のハッピーエンドをまったく予感させない。

タイムトラベルとタイムパラドックスを扱ったSF映画ゆえ、ストーリーは少々難解に思えるかもしれないが、一つひとつの点を丹念に追っていくと複雑ながらしっかりと描かれている線が浮かび上がる。そしてその線がしっかりしているがゆえ、終盤のストーリーの思わぬ方向への流れ方には正直驚くし、感心し、練られたストーリーの映画を観た後の特有の満足感を味わうことができた。

人類の終末を扱う映画は数多くある。たとえ映画であれ人類が滅びるよりも救われることを望んでいる我々は、安直なハッピーエンドだとしてもそれが訪れれば心のどこかで安心するものだ。

しかしそうとはせず、変えられない絶望の未来を描いてなおラストシーンには観客の想像力を刺激する1シーンを差し込む。まったく心憎い限りだ。

救われない終末を描いていながら繰り返し観たいと思わせる良作である。(86点)

 

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