ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

テッド

2012年 アメリカ 106分

監督:セス・マクファーレン
脚本:セス・マクファーレン、アレック・サルキン、ウェルズリー・ワイルド
撮影:マイケル・バレット
出演:マーク・ウォールバーグ、ミラ・キュニス、セス・マクファーレン(声)

 

毒舌より下ネタより、リアル過ぎるテッドの動きに注目

「もしもぬいぐるみがしゃべりだしたら?」小さい頃にいつも一緒にいるぬいぐるみを持っていた人なら、きっとそんなことを考えたことはあるだろう。この映画はそんな「もしも」を実現し、さらに大人になった未来を描いている。

友達が一人もいなかった主人公のジョンは、8歳の時に両親からもらったテディベアのぬいぐるみを友達のように可愛がり、「実際に話をしたい」と星に願う。翌日その願いは叶えられ、テディベアは人間の言葉を話し動きまわる親友の「テッド」となる。

この物語のおもしろいところは、そこからのきらびやかでファンタジーな幼少期を一切描かずに、一気に27年が過ぎた2012年現在を描くところにある。8歳のかわいらしいジョンはすでに35歳のおっさんである。(かなり美人の)恋人はいるが結婚する気がなく、かといって仕事に精を出しているわけでもない。テッドと大麻を吸っては日常をダラダラと過ごす、言わばダメ人間である。この時点でかなり美人の恋人がいる設定に無理があるのだが、ヒロインがイケてないと感情移入できないのでそこは目を瞑ろう。

かたやテッドはしゃべるぬいぐるみとして一時期有名になりセレブリティとなる(この辺りの詳細は映画では描かれない)。羨望や贅沢を知った代償からかすっかり性格はやさぐれて言葉遣いは荒くなり、下ネタ連発の下品キャラになっている。

子供の頃のファンタジーがそのまま続けば、大人になればこういった残念なことになる、そんな落差を描いているのが一番の肝。その演出のためにジョンはそうとうダメに描かれるし、テッドの言動はかなり下品にエスカレートしていく。

日本での上映はR指定を受けているとはいえ、もちろん下品な言動のやり取りばかりを描いていてはヒットしようがない。ジョンの恋人ローリーがテッドを邪魔に思ったり、ジョンがテッドと別れたり、そして最後には以前に増して仲良くなって大団円を迎えたりと言ったことはそれなりに観ていて爽やかな印象だが、脚本としてみるべきものはほとんどない。

脚本にみるべきものはないが、一番この映画をみていて感心したのはテッドのリアル過ぎる動きだ。CGなのはわかっているがあまりにもリアルで自然に動き回るので、実は着ぐるみに子どもが入ってるんじゃないか?と何度か疑ったほど。

脚本は浅く設定に頼りすぎて退屈な部分も多かったが、スクリーンからは監督がかなりの映画通で映画好きなことが伝わってくる。

そして何よりこの監督は、演出に光るものがある。この脚本を100%活かすためには、テッドが「本当に生きているようにみせる」ことがなによりも大切なことだからだ。この監督の次回作が公開されれば、みてみたいと思う。(65点)
 

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