ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

リミットレス

2011年 アメリカ 105分

監督:ニール・バーガー
脚本:レスリー・ディクソン
撮影:ジョー・ウィレムズ
出演:ブラッドリー・クーパー、ロバート・デ・ニーロ、アビー・コーニッシュ
 

自分の能力(脳力)を引き出すイケナイ薬とその副作用

映画に限らず物語が持つ役割の一つは、「もしも」の仮定の世界を表すことにある。現実しか生きることのできない我々は、それが希望であれ絶望であれ虚構の物語に身を投じることで満足感を得ることができる。

そういった意味で、この作品のモチーフは実にわかりやすいものとなっている。
人間には常に「ここではないどこか」「自分ではない誰か」に思いを馳せる部分がある。それは一般的には、「変身願望」と呼ばれているが、この映画で主人公は、「もしも私が、私という人間そのままに、思い通りの人生を手に入れることができたら」といった「変身願望」を実現させる。

主人公のエディ・モーラは売れない小説家だ。新作を書こうとしてもまったく筆が進まず、将来性のないことから恋人に振られてしまう。絶望していたエディは偶然、離婚した妻の弟ヴァーノンと出会う。みすぼらしいエディの姿を見たヴァーノンは、「NZT-48」という薬をエディに手渡す。その薬は、脳の能力を飛躍的に高めるもの。普段は20%しか使われていない能力を100%使用できるようになるという。行き詰まったエディはその薬を飲んでみることにした。

モチーフがわかりやすければ、映像表現もまたとてもわかりやすいものとなっている。

薬を飲んでいない時のスクリーンは錆びたような色味で、質感もザラザラしている。うまくいかないエディの人生そのままの色使い。普段のエディの目に世界は陰鬱に映っているのだ。

ひとたび薬を飲めば映像は急にクリアになる。明るく、空気は暖色に包まれている。能力を全開にしている時の表現があまりにわかりやすく、それがむしろ潔く思う。

もちろんこういった薬には副作用がつきもの。NZT-48の場合は投薬を切らすと死へと至らしめるものだった。

ここで既定路線を描くなら、薬から手を切って生まれたままの自分自身で勝負しよう!ということになるか、もしくは薬の呪縛から逃れられずに破滅への道へとたどることになる。

しかし「リミットレス」はそのどちらにも振れなかった。薬を常用し続けるすることで更に上へと上り詰め、ついには議員へ立候補するところで物語は終わる。

大枠の流れはそれほど悪くなく中盤までは実にテンポよくストーリは進む。なかなかよい映画だと思ったが、中盤から物語は展開が速くなり(雑になり)、今ひとつ不明瞭な部分が多くなってくる。その辺りを丁寧に描いて欲しかったところだ。(70点)

 

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