ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

バック・ビート

1994年 イギリス 100分

監督:イアン・ソフトリー
出演:スティーヴン・ドーフ、イアン・ハート、シェリル・リー、ゲイリー・ベイクウェル

 

大きな成功かそれとも…。一度は見て欲しい秀作

夜明け(デビュー)前のビートルズを、初期メンバーであり若く亡くなったスチュアート・サトクリフに焦点を当てて描いた物語。

おそらくビートルズがすごく好きな人にとっては色んな部分が気になってしまい、映画に集中できないであろう。そっくりさんのように似ているジョンやポールの風貌、劇中の彼らが演奏する楽器の扱い方、事実関係に基づいているかどうかのストーリーチェック…。

しかし私のような「すでに解散した世界一有名なバンド」ぐらいにしか知識のないものにとっては、細かい部分は気にならず、ストーリーに入り込めるというものだ。

プロットは恋人に死に別れるというごくありきたりのものであるのだが、事実に基づいているがゆえ役者たちの表情や会話にある種、力強い説得力が生まれている。

例えば物語の終盤、ビートルズ脱退を決め、恋人である女性写真家アストリッド・キルヒヘルとの暮らしを選んだスチュアートに、ジョン・レノンは「本当にいいのか?」と疑問を投げかける。

「ビートルズは必ず成功するだろう。世界中の人間がビートルズを知るようになる。それでもお前はいいのか?」と。

我々は結果的に劇中のジョンが言った言葉が現実になることを知っている。その成功は音楽史そのものを変えるほどのとてつもなく大きな成功である。我々はジョンの言葉に事の重大さを知り、そしてスチュアートの決断の中に、何ものにも変え難い大きな愛を感じるのである。

エピローグの空港に降り立ったジョンを迎えるアストリッドとの言葉少なくとも全てを理解する一瞬のシーンは必見。音楽ファンでなくともビートルズファンでなくとも、何度でも楽しめる秀作である。(80点)

 

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