ネタバレありの映画批評 ムービー・インプレッションズ

X-メン

2000年 アメリカ 104分

監督:ブライアン・シンガー
脚本:デヴィッド・ヘイター
出演:パトリック・スチュワート、ヒュー・ジャックマン

 

原作知らずともストーリーは追えるが、何だか中途半端

アメリカ人にとってはお馴染みのコミック「X-メン」の映画化である。アメリカ人にとってはお馴染みであっても、もちろん日本人にとってはお馴染みではない。

原作ありきのこの作品を純粋に一つの映画として判断しようと思えば、むしろ非アメリカ人の方が客観的に行えるであろう。

かくいう私もまったく原作の予備知識なしに観たが、それでもストーリーは無理なく追うことができた。
あまたの例をあげるまでもなく、有名な原作を元に作られた作品は色々な場面を詰め込みすぎてストーリーが破綻してしまうことがよく見られる。それを思えばこの「X-メン」は安定感のある脚本といえよう。

しかし安定感を重視したためか、映画を観ていてワクワクする場面が正直いってなかった。

象徴的なのは終盤、淀みなくストーリーが進みX-メンたちがいざ決戦となる「自由の女神像」へ乗り込んでから。

そこではもちろん最後の盛り上がりを観客は期待するのだが、最初に待ち構える雑魚キャラ2人にはそれほど苦戦することなく勝利し、次のウルヴァリンとセイバートゥースとのパワー勝負こそ見せ場!と思ってみても、屋根の上でコロコロと転がるうちにいつの間にか決着がついていた。ローグを救う場面については何をか言わんやである。

この映画「X-メン」はミュータントを主人公とした物語である。
ミュータントとは、ごく一部の人類が急激な進化を遂げて生まれた突然変異とされている。

物語では人間にとって善とされるX-メンと悪とされるブラザーフッドの二項対立を描いているが、どちらもミュータントであり、本来は人間でありながら同種の人間から迫害されている存在だ。
そこに焦点を合わせれば生まれてきた理由、存在理由そのものを問う哲学的なアプローチも可能であろうし、ミュータントとなることで身につけた攻撃的な部分に焦点を当てれば爽快なアクション活劇にすることもできるだろう。

しかしこの「X-メン」はそのどちらにも舵を取ることなく、破綻のないストーリーを作ることにのみ主題を置いた作品のように思えてならない。
それはこの物語を愛するファンに対しての敬意かもしれないが、原作を知らない私にとっては「中途半端なヒーロー物」の域を出ない退屈な作品であった。(55点)

 

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